浴衣と着物の違いはなに?それぞれの特徴や着物の種類、おすすめを紹介

「浴衣と着物はどんな違いがある?」「着物って何種類あるの?」など、浴衣や着物の違いについてわからない方も多いのではないでしょうか。

着物は主に11種類あり、浴衣はそのうちの1種類に分類されます。着物は種類によって着用できるシーンが異なるため、きちんと理解しておくことが大切です。

本記事では、浴衣と着物の違いや特徴、おすすめの振袖や浴衣について紹介します。また浴衣と着物に描かれる柄の違いなどについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

浴衣と着物の歴史

浴衣と着物の違いについて触れる前に、それぞれの歴史についてご紹介します。それぞれの歴史を知ることで、浴衣と着物の違いについて深く理解できますよ。

浴衣の歴史

浴衣の語源は、「湯帷子(ゆかたびら)」です。平安時代の貴族が蒸し風呂(現代でいうサウナのようなもの)に入るときに、水蒸気でやけどをしないように湯帷子を着て入浴したことが始まりとされています。

その後、江戸時代の中期ごろから、お風呂は裸で入るように変化しました。湯帷子は入浴した後に着る外出着として着られるようになり、さらに就寝時にパジャマ代わりとしても用いられるようになります。それから時代を経て少しずつ用途が変化し、現在では夏の季節の外出着として親しまれるようになりました。

着物の歴史

平安時代には、現代のような形の着物が生まれたとされています。麻などの涼しい素材で着物を作り、季節に応じて着数を調節しながら過ごしていました。着る枚数で体温調節できる使い勝手の良さから、少しずつ生活に取り入れられるようになります。

その後、鎌倉時代には着物の色も華やかに変化します。また、戦地へ行く際にも着用するようになり、時代と共に形や色が変化していきました。江戸時代になると、現代でいう袴(はかま)が「武士の制服」として着られるようになったことで、着物全体の技術が高まったとされています。

その結果、着物そのものが美術工芸としての価値を高めていくようになりました。家の財産として、着物を親から子に伝えていく風習が根付き始めたのも江戸時代からです。

着物は、現代では普段使いできる衣服としてだけでなく、結婚式や卒業式などのお祝いの場にふさわしい正装として着用され続けています。

浴衣と着物の違い4つ

浴衣と着物の違いは、以下の4つです。

  • 着用する時期の違い
  • 着ていく場面の違い
  • 生地や素材の違い
  • 着付け方・小物の違い

それぞれの違いについて詳しくご紹介します。

着用する時期の違い

浴衣は、6月から9月の夏に着ることが多いでしょう。旅館などでは、お風呂上がりに着るものとして、浴衣が準備されることがあります。

一方、着物は年中着られます。夏は裏地のない「単衣(ひとえ)」を着用し、冬は裏地のある「袷(あわせ)」を着ることが一般的です。

昔は単衣の着物は6月と9月の2か月のみ着るものとされていました。しかし、現代はカジュアルなシーンであれば、衣替えにこだわらず着られています。

着ていく場面の違い

浴衣と着物では、着用シーンに明確な違いがあります。たとえば浴衣の場合、夏祭りに着ていくイメージがありますが以下のシーンでも着用可能です。

  • 神社にお参り
  • お盆のお墓参り
  • 夜景を見に行く
  • ビアガーデン
  • 足湯
  • 散歩

特別なイベント以外でも、浴衣を着て楽しめます。ただし、浴衣は動きづらいため、バーベキューを含むアウトドアの場面にはあまり向いていません。また、雰囲気に合わない場所には、浴衣の着用を避けるのが無難です。

一方、着物を着ていくシーンは以下のとおりです。

  • 入学式
  • 卒業式
  • 七五三
  • 式典
  • 結婚式
  • 成人式
  • 葬儀

ただし、着物は着用するシーンによって、着物の種類が異なります。例えば成人式の場合、振袖を着用するのがふさわしいです。後ほど、着物の種類について詳しくご紹介します。

生地や素材の違い

浴衣は夏に着るもののため、汗や水分をよく吸収する素材である必要があります。そのため、木綿や麻、ポリエステルで作られているものが多い傾向にあります。

一方着物の生地は最上級のものだと、絹が使われます。訪問着などに多く使用されており、値段も高価なものが多いです。ほかにも、麻やウールで作られているものがあります。

着付け方・小物の違い

浴衣と着物は、着付け方や着付けに使用する小物にも違いがあります。

まず、浴衣の着付けに必要な小物は以下のとおりです。

  • 浴衣
  • 和装用肌着
  • 腰紐
  • 伊達締め
  • 前板
  • コーリンベルト

浴衣を着付ける手順として、まず和装用の肌着を着ます。次に浴衣を羽織り、腰紐や伊達締め、コーリンベルトを使って着付けを行い、帯(半幅帯または兵児帯)を結んだら着付けの完了です。

次に、着物の着付けに必要とされる小物は以下のとおりです。

  • 着物
  • 和装用肌着
  • 長襦袢
  • 衿芯
  • 腰紐
  • 伊達締め
  • 帯枕
  • コーリンベルト
  • 前板など

着物を着付ける手順として、まず和装用肌着を着用したあとに長襦袢を着ます。そして着物を羽織り、腰紐や伊達締め、衿芯、帯枕、コーリンベルトなどを使って着付けを行い、帯を締めて着付けの完了です。

上記のように浴衣と着物では、着付けに必要な小物や手順が異なります。また、着物の種類によっても必要な小物が異なるため、着物に合う着付け小物を揃えることが大切です。

以下の記事では、振袖に必要な小物や着付けの手順についてご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

参考URL:振袖の着付けは自分でできる?着付けの手順や必要なアイテムを紹介

浴衣と着物の種類はいくつあるの?

浴衣と着物の種類はいくつあるのでしょうか。浴衣の生地の種類と、着物の種類について紹介します。

浴衣の生地は綿や絹、麻、ポリエステル

代表的な浴衣の生地を紹介します。

絹紅梅(きぬこうばい)と呼ばれる、透け感のある絹地に太い木綿糸を格子状に織り込んだ生地があります。

小千谷縮(おじやちぢみ)は、緯糸を使って織ることで、シボと呼ばれるシワを出した麻織物です。

麻は定番で糸を先染めにして模様を織り表したものが主流です。

綿絽(めんろ)とは、横断上にすきま(ろめ)を空けて織り表した生地で、とても薄く透け感があるのが特徴です。風を通すため、とても涼しく着心地が良いでしょう。

一般的に浴衣に使われるのが木綿です。生地に特徴はなく、シンプルな仕上がりのものが多い傾向にあります。

最後に、セオΑ(アルファ)という、高級ポリエステル生地を紹介します。さらさらとした肌触りで、自宅で洗えるのが特徴です。お手入れしやすい素材のため、人気があります。

着物は11種類ある

着物は以下の11種類が主流です。浴衣が含まれていますが、浴衣は一番格式の低い着物というくくりになっています。

  1. 紬(つむぎ)
  2. 小紋(こもん)
  3. 打掛(うちかけ)
  4. 振袖(ふりそで)
  5. 黒紋付(くろもんつき)
  6. 黒留袖(くろとめそで)
  7. 色留袖(いろとめそで)
  8. 訪問着(ほうもんぎ)
  9. 色無地(いろむじ)
  10. 付け下げ(つけさげ)
  11. 浴衣(ゆかた)

以下にそれぞれの特徴や用途について紹介します。

紬(つむぎ)

産地による種類が豊富な紬は、不均一な質感とカジュアルな外観が特徴の絹の生地です。カジュアルな日常着として使用されます。

小紋(こもん)

小さな繰り返し模様が特徴の着物で、主に幾何学的なデザインや自然をモチーフにしたものがあります。演劇やお稽古など、幅広い場面に適しています。おしゃれに着こなせる外出着です。

打掛(うちかけ)

結婚式に花嫁が着る着物で格式高い着物です。種類として、白無垢や色打掛があります。色打掛は披露宴にも適しています。

振袖(ふりそで)

長い袖が特徴の着物で、未婚の女性が成人式などで着用する第一礼装です。

柄や色もさまざまあり、袖の長さは「本振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類あります。

黒紋付(くろもんつき)

黒い家紋がついた、非常に格式のある着物です。主に厳かな儀式や正装が必要な場面で着用されます。男性は、花婿衣装として着ることがあります。

黒留袖(くろとめそで)

既婚女性の第一礼装であり、黒い地に5つ紋が描かれた、非常に格式のある着物です。

結婚式や重要な儀式などの正装として着られます。

色留袖(いろとめそで)

黒地ではない留袖のことで、既婚、未婚問わず女性が着用する格式のある着物です。

三つ紋は準礼装で、披露宴や祝賀会等で着用し、一つ紋は、パーティや子供の入学式・卒業式などで着用します。

訪問着(ほうもんぎ)

華やかで派手なデザインの着物で、訪問時に着用されます。柄や紋での使い分けが重要です。

色無地(いろむじ)

生地を黒以外の単体で染めた無地の着物です。装飾的な帯や小物でアクセントをつけるのが特徴です。地紋がない色地は色喪服としても着ることができます。

付け下げ(つけさげ)

準礼装であり、控えめな柄の着物を指します。見た目が豪華なら訪問着で、控えめなら付け下げと覚えておくと良いでしょう。

浴衣(ゆかた)

夏場に直接肌に着られる薄手の着物です。夏祭りやカジュアルな外出などで着用されます。

このように、着物は11種類あり、格がそれぞれあるため、着ていく場面が異なります。この機会に着物を着てみてはいかがでしょうか。

着物には夏に適した絽や紗がある

着物に使用される生地は季節によって種類が異なり、夏の季節には「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」が適しています。裏地がないため通気性が良く、長襦袢が透けて見えるのが特徴です。

また絽や紗は、着用できるシーンに違いがあります。絽は留袖や訪問着など、フォーマルな着物に使用されています。一方、紗は絽よりも透け感が出ることから、色無地や小紋などのカジュアルな着物に使用されることが多いです。

暑い夏に着物を着る機会があれば、涼しげなイメージがある絽や紗の着物を選んでみてはいかがでしょうか。

浴衣に描かれる人気の柄

浴衣に描かれる人気の柄を5つご紹介します。

朝顔(あさがお)

朝顔は、愛情や固い絆などの意味が込められている柄です。蔓(つる)を絡ませて支柱に固定させることから、固い絆を表したとされています。夏を代表する花として、浴衣に描かれることが多いです。

紫陽花(あじさい)

紫陽花は、団欒や辛抱強さなどの意味が込められている柄です。花びらが集まって美しい花を咲かせることから、仲の良さを表した柄とされています。また6〜7月の梅雨の時期に耐える花として、辛抱強いという意味が込められています。紫陽花も夏を代表する花として、浴衣に描かれることが多いです。

向日葵(ひまわり)

向日葵は、あこがれや愛情などの意味が込められている柄です。太陽に向かって動くことから、あこがれを表現しているとされています。太陽に負けない元気な印象があり、浴衣に描かれる柄としても人気です。

菖蒲(しょうぶ)

菖蒲は、「勝負」と同じ読み方をすることから、必勝や礼儀正しさなどの意味が込められています。また古くから厄除けとして5月の節句に用いられたことから、邪気払いなどの意味が込められているのも特徴です。

金魚(きんぎょ)

金魚は、幸福や豊かさなどの意味が込められている柄です。中国では「金余(きんよ)」と発音が似ていることから、お金に困らない縁起が良い柄とされています。涼しげに泳ぐ様子から、浴衣に描かれることが多いです。

着物(振袖)に描かれる柄

着物(振袖)に描かれることが多い柄を6つご紹介します。

桜(さくら)

桜は、豊かさや繁栄の意味が込められている柄です。日本の国花であり、振袖だけではなく、和モチーフのアイテムに多く取り入れられています。春の季節だけでなく、通年着用できる柄です。

椿(つばき)

椿は、厄除けや永遠の美という意味が込められている柄です。神事の際にも使用されることから、高貴な花として扱われるようになりました。1年を通して青々しい葉をつけているため、季節を問わず着用できる柄です。

松竹梅(しょうちくばい)

松竹梅は、縁起の良い柄である吉祥文様のひとつです。松には長寿、竹には成長や子孫繁栄、梅には忍耐強さの意味が込められていて、すべてを表現した松竹梅は生命力の強さを表しているとされています。こちらの柄も、季節を問わず通年着用できる柄です。

亀甲(きっこう)

亀甲は、繁栄や長寿の意味が込められている柄です。縁起の良い吉祥文様として礼装に用いられることが多く、振袖・黒留袖・色打掛などに描かれています。亀甲柄も通年着ることが可能です。

七宝(しっぽう)

七宝は、円満や子孫繁栄の意味が込められている柄です。円模様が連続して広がることから「縁(えん)が続く」とされ、円満や子孫繁栄を表現しています。七宝柄も季節を問わず、通年着用することが可能です。

鶴(つる)

鶴は、長寿や夫婦円満の意味が込められている柄です。「鶴は千年」という言葉から、長寿を表現しています。また鶴は一度夫婦になると一生添い遂げる鳥であることから、夫婦円満の象徴のため、婚礼の衣装に用いられるようになりました。冬の季節のイメージがありますが、通年着用することが可能です。

【夏の季節にもおすすめ】ICHIKURAで取り扱いのある振袖7選

ICHIKURAで取り扱っているおすすめの振袖についてご紹介します。冬だけでなく、夏の季節にもおすすめの振袖もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

白の生地×バラと洋花の柄

品番:E-1039

バラを中心に洋花をあしらった構成にし、モダンに仕上げました。地色は生地本来の白を活かし、金、銀が映えます。染め上がりに、銀糸の輝きがより一層豪華さを演出できる銀モザイクを使用しています。金彩加工を施し、金、銀、パールで輝きを放っている1枚です。見る人、着る人どちらも魅了します。

色の生地×黒のコントラスト

品番:E-745

黒いシルエットに白い地。コントラストを強調し、着る人をより一層引き立たせる配色になっています。シルエットの柄には、薔薇をモダンにアレンジした柄を使用し、横糸5本に銀ラメ糸1本での織り上げが適度な光沢を放ちます。黒いベルベットに薄金の刺繍、白と黒のコントラスト、シルバーラメとゴールドラメの輝き、女性の好むものを惜しみなく取り入れた1枚です。

暗い生地×色が映える古典柄

品番:E-1051

道長に流水疋田文様を配した本格的な古典柄となっています。うっすらと浮かび上がるように織り込まれた、サヤと桜の地紋の上品な風合いの生地です。豪華な古典柄の振袖を求める方におすすめです。

白の生地×水彩画風のニュアンス

品番:SPC-142

白の生地に水彩画風のデザインが美しい振袖です。シルバーやグリッター箔が施され、瑞々しくツヤ感を演出しています。飛沫をイメージしたラインストーンも散りばめられ、華やかな印象です。夏らしい涼しげな着こなしをしたい方におすすめです。

白黒の生地×星座柄デザイン

品番:SPC-70

白と黒のバイカラーの生地に、星座柄の地模様が施された振袖です。配色に繊細なぼかしを入れることで、美しい星空を表現しています。またレース柄は銀箔加工を施し、華やかさもあるデザインです。他の振袖とは一味違う、個性的なデザインを着こなしたい方におすすめです。

白の生地×大柄の牡丹

品番:R-477

白の生地に大柄の牡丹が描かれた華やかさのある振袖です。緑や紫などを配色し、ラメ糸で刺繍を施すことで、より豪華さを演出しています。モードな印象でクールテイストに着こなしたい方におすすめです。

白の生地×花柄グラデーション

品番:E-1083

白の生地に紫のグラデーションが映える振袖です。桜、菊、梅など代表的な古典柄が描かれていて、上品でありつつ華やかさを演出しています。古典柄を品良く着こなしたい方におすすめです。

まとめ

浴衣は湯帷子(ゆかたびら)を語源とし、平安時代に蒸し風呂に入る際に水蒸気でやけどしないように着ていたものが由来で、現在は夏の外出着として親しまれています。一方、着物は武士の制服だった時代や芸術品とされていた時代を経て、現在は成人式や結婚式などのさまざまなシーンで着用され続けています。

着物は主に11種類に分けられ、それぞれ着用シーンが異なります。浴衣と着物の違いや着用シーンを理解したうえで、浴衣・着物それぞれのコーディネートを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ICHIKURAでは、夏の季節にもぴったりなデザインの振袖を多数取り扱っています。ご来店の際はWEBよりご予約いただけると、スムーズにご案内可能です。もし振袖選びでお悩みであれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。