振袖は未婚女性の第一礼装であり、とても華やかで目を引く衣装です。
振袖を選ぶ際は、振袖の柄ばかりを重視してしまいがちですが、振袖姿の印象は合わせる帯でもガラリと変わります。
せっかくの振袖、隅々までこだわりたいという方は、帯の色や柄も慎重に選びましょう。
今回は、振袖に使われる帯の種類や、おすすめの色や柄を徹底的に解説します。
さらに、意外と難しい帯の結び方から、振袖の帯を選ぶときのポイントまで紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
1.振袖に使われる帯の種類
振袖は、「袋帯」という種類の帯を使うことが基本です。
袋帯とは、表地と裏地を縫い合わせて作った帯のことを言います。
主に、留袖・色留袖・訪問着・振袖などの礼装に合わせる帯です。
長さは430~450cmと名古屋帯よりも長く、色柄も豪華で縁起物のデザインが多い点なども特徴です。
華やか・豪華な印象の結び方をするためには、ある程度の帯の長さが必要です。
そのため、比較的長めの袋帯は、晴れの舞台で着用するであろう振袖に最適と言えるでしょう。
また、帯は基本的に柄のつき方によって種類が分けられており、袋帯も例外ではありません。
袋帯の柄は、主に「全通柄」「六通柄」「太鼓柄」の3つがあり、それぞれ柄の総面積が異なります。振袖には、格の高い「全通柄」が適切です。
2.振袖におすすめの帯の色・柄
ここからは、振袖におすすめの帯の色や柄を紹介します。
帯の色や柄によって、全体の印象も変わるため、振袖にぴったりの帯を見つけてください。
●明るい色の振袖の場合 | |
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金 | シンプルな柄の振袖を着る場合は、金色がおすすめです。 金色の帯は、黒色の訪問着や留袖などにも合わせることができる万能な色であるため、1本持っておくと重宝するでしょう。 |
クリーム・白 | 明るい色の振袖に暗い色の帯を合わせるなど、対比色は難しい色合わせと言えます。 明るい色には明るい色を合わせることで、全体がすっきりとして見えるためおすすめです。 |
●暗い色の振袖の場合 | |
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黒 | 前述のとおり、振袖と帯の対比色は難しい色合わせであり、上下が分断されて寸胴に見えてしまう可能性もあります。 暗い色の振袖は黒色の帯を選べば、どのような色の振袖にも合い、シックに合わせることができます。 |
青・紫 | 黒い帯は、シックで落ち着いた印象を与えますが、少し差し色を入れたい場合は青色や紫色の帯がおすすめです。 振袖と同系色の帯を合わせれば、すっきりとした印象を与えられるでしょう。 |
●振袖におすすめの柄 | |
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全通(ぜんつう)柄 | 全通柄は帯全てに柄が入っており、どのような結び方をしても柄が綺麗に出るため、まだ結び方が決まっていなくても柔軟に対応できます。 基本的に柄も華やかなものが多く、振袖に最もおすすめの柄です。 |
六通(ろくつう)柄 | 六通柄は帯全体の6割に柄がついており、全通柄よりも少し軽く、価格も抑えられます。 シンプルなデザインが好みで、複雑な結び方を考えていない人は六通柄がおすすめだと言えるでしょう。 |
お太鼓(おたいこ)柄 | 太鼓結びで結ぶのに適した柄を、お太鼓柄と言います。 お太鼓柄の帯は、結ぶと胴部分・タレ部分に柄が出るようになっています。 部分的に柄があるデザインであり、全通柄や六通柄より安価です。 体系によって柄がずれるため、慣れていなければ使いづらく感じることもある点に注意しましょう。 |
3.振袖に合う帯の結び方を紹介!
振袖の帯には、さまざまな結び方が存在します。
どの結び方においても、基本的に立体感のある華やかなものが多く、晴れ晴れしい雰囲気にぴったりです。
ここからは、振袖に合う帯の結び方を基本編・アレンジ編に分けて、わかりやすく解説します。
基本編 |
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アレンジ編 |
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3-1.基本編
まずは、基本の帯の結び方を紹介します。
●文庫結び
文庫結びは、帯結びの基本的な結び方です。
結び目が真ん中にあり、帯の羽2枚を両サイドに垂らすと、リボンのような形となるため、可愛らしい印象を与えられます。
江戸時代から武家の女性がしていたと言われるほど長く続く伝統的な結び方であり、清楚で品のある雰囲気が、どのような着物にも合います。
●立て矢結び
立て矢結びは、斜めに蝶結びをしたような羽が特徴的な結び方です。
右側が下になるように羽を斜めに結ぶことで、立て矢を背中に背負っているように見えることから、立て矢結びと言われるようになりました。
立体感のあるゴージャスな結び方で、凛々しい雰囲気を出したい方におすすめです。
●二重太鼓結び
太鼓結びは、比較的新しい結び方です。横から見ると、まるで太鼓橋のように見えることから、太鼓結びと言われるようになりました。
太鼓結びには一重太鼓と二重太鼓の2種類がありますが、一重太鼓はカジュアルな着物の帯結びであるため、振袖に合わせる場合は二重太鼓が一般的となります。
二重太鼓の見た目は一重太鼓と似ているものの、横から見ると生地が二重になっており、さりげなくおしゃれな雰囲気を出すことが可能です。
3-2.アレンジ編
次に、華やかで少し複雑な手順が特徴的な、アレンジ編の帯の結び方を紹介します。
●薔薇結び
薔薇結びは、結び目がまるで薔薇のように見える華やかな結び方です。
結び方や結び目の位置によって薔薇の形が異なります。
帯をくるくると巻いてヒダを作る結び方が多く、シフォンやシルク生地のような柔らかい帯が向いています。
後ろから見ると大輪の花が咲いているような印象があり、存在感を出したい方におすすめです。
●巾着結び
巾着結びは、文庫結びをアレンジした結び方です。
文庫結びよりも縦の結び目を大きく取り、羽を小さめにすることで、巾着のようなふっくらとした形となります。
丸いフォルムが上品で可愛らしく、古典柄の振袖や帯にもよく似合う結び方です。
●羽根結び
羽根結びも、文庫結びを少しアレンジした結び方で、文庫結びの結び目から帯の端を出す結び方です。
結び目を作るときに下からも羽を引き抜けば4枚の羽となり、華やかさやボリュームを出すこともできます。
若々しい・フレッシュな印象のある羽根結びは、成人式や門出の場などにもぴったりの結び方でしょう。
●花結び
花結びは、後ろから見ると結び目が花のように見える、愛らしさのある結び方です。
薔薇結びと同じく、柔らかな素材の帯を使うことで花びらのようなヒダを作ることが可能となります。
華やかながらも可愛らしさがあるため、キュートな印象にしたい場合などは花結びがおすすめです。
4.振袖の帯を選ぶときのポイント
ここまで、帯の種類からおすすめの色・柄について紹介しました。
最後に、振袖の帯を選ぶときのポイントを説明します。
振袖の帯を選ぶ際は、好みの色・柄を選ぶのではなく、以下に紹介する3つのポイントをおさえてみてください。
●身長が低い人は振袖と同じ色の帯を選ぶ
着物のコーディネートは、振袖の色はもちろん、合わせる帯の色でも印象が大きく変化します。
また、振袖は洋服と同じように、身長によって似合うコーディネートが変わるため、自身の身長に合わせた帯を選ぶこともポイントです。
●長く使い続けたい場合は古典柄の帯を選ぶ
着物や帯の柄は時代の流行りなどもあり、定番の古典柄以外にも現代風やモダンな柄も人気です。
特に古典柄は流行にとらわれない定番の柄であるため、長く使い続けることができます。
歳を重ねても使うことができたり、子供に使ってもらったりと、世代を超えて使うこともできるでしょう。
●結婚式で振袖を着用する場合は桜柄を避ける
帯の柄は、季節の草花がデザインされたものも多く、桜柄も華やかで人気の柄です。
しかし、結婚式で着用する場合は桜柄の帯は避けなくてはなりません。
「桜散る」という言葉があるように、”夫婦関係も儚く散る”と連想されてしまい、縁起が良くないためです。
結婚式以外での場であれば着用できるものの、門出やお祝いの場でも上記のことを踏まえて選びましょう。
まとめ
着物はもちろん、帯にもさまざまな種類があり、適切なシーンも異なります。
華やかな第一礼装である振袖を、より魅力的に映し出すためにも、帯においてもきちんとこだわった上で選びましょう。
着物のマナーは、複雑で難しいと感じる場合もありますが、注意点をおさえればドレスよりも華やかな印象を与えられます。
ここまでの内容を参考に、色合わせやコーディネートのポイントを把握したうえで、ぜひ振袖にぴったりの帯を見つけてくださいね。