日常生活の中で着物に手を通すことが滅多になくなった現在、着物の正しいたたみ方を知っている方がすっかり少なくなりました。ましてや「振袖」のたたみ方に自信がなくても無理はありません。しかし、今回ご紹介する「本だたみ」を覚えておけば、きっと綺麗に振袖をたたむことができるようになりますよ!
目次
1、床に整えて広げる
振袖をたたんでしまう前には、必ず1~2日は室内で着物ハンガーにかけて湿気を取っておきます。そして同時に、ホコリや糸くずなどをはらい、シミができていないかを確認しておきましょう。もし、シミや汚れが見つかったら、クリーニング店、購入店、悉皆屋いずれかに相談します。 次に以下の順序で振袖をたたみやすいように整えながら床に広げます。
振袖を購入する人も、レンタルする人も、まずはお気に入りの振袖を見つけよう♪
このとき、きものにホコリがつくことが心配であれば、たとう紙を敷いた上でたたむとよいでしょう。 1.振袖の衿が左手に来るようにして振袖を広げます 2.脇の縫い目をただし、中心に向けて折ります。下前(手前側)を脇縫い線で内側に折るようにすると綺麗です。
2、おくみをたたむ
おくみの縫い目を手前に折り返し、衿を内側に入れます。 以下の順序で行うようにするとしわを作ることなくおくみをたたむことができます。 1.下前(手前側)のおくみを、縫い目に沿って手前に折り返します。 2.衿の肩山から斜めに内側に折り込んで、おくみと衿を合わせます。
3、裾を整える
上前の衿、おくみを下前に揃え、裾までしわが寄らないようにきれいに伸ばして整えます。
4、上前と下前を重ねてたたむ
上前と下前を脇縫い線に揃えるようにして重ね、さらに両袖も揃えて重ねます。裄丈が長い場合は、袖付けから袖を適宜折り、身頃に返します。
5、袖をたたむ
上前側に来た袖を、袖のつけ線から身頃の上に折り返し、次に裾を持って、身頃を二つ折りにします。 袖を身ごろの上に重ねます。このとき上から見るとちょうど長方形になります。
6、見ごろをたたむ
長方形になった振袖を衿の一番下から二つに折ります
できれば物差しを入れると綺麗に折れます。
7、たとう紙に納めて完成
綺麗にたたみ終えた状態を崩さないように注意しながら、振袖を「たとう紙」の中に収めて完了です。また次に袖を通す時までは、タンスの引き出しに保管しておきます。また、金糸銀糸刺繍や友禅手書き部分のような模様部分には、薄紙をあてておくと安心です。 そして、振袖を保管する際には、以下の二つの注意ポイントについて覚えておきましょう。
【注意】①ビニールにはいれない
振袖をクリーニングに出し、ビニール袋に入れて返却された場合は、必ず取り出してたとう紙に収めましょう。密封性の高いビニール袋にそのまま入れておくとカビや縮みの原因となる場合があります。また、輪ゴムなどのゴム製品の有無にも注意してください。ゴムの硫黄成分による化学反応によって刺繍や金箔が変色することがあります。
【注意】②たとう紙とは?
「たとう紙」とは着物を保管しておくために使われる長方形の和紙でできた包装袋のことです。「文庫紙」と呼ばれることもあります。
まとめ
いかがでしたか?着物のたたみ方はとても難しいように思われがちですが、今回ご紹介した、この着物の「本だたみ」を覚えておけば、どの着物にも応用が利き、もちろん振袖をたたむときにも使えます。自分で着物がたためるようになるだけでも、着物を着ることのハードルが低くなりますし、なにより手持ちの着物への愛着が深まるものです。せっかく誂えた大切で高価な振袖です。いつまでもその美しさを失わせず、できれば次の世代に引き継ぐためにも、着物たたみ方のコツを覚えておきたいですね。