着物独特の手法である【絞り染め】。生地に立体感があり、振袖の中でも豪華な逸品です。ふんわりとしたポコポコ感が可愛い絞り染めの振袖ですが、しっかりコーディネイトすると、更に着物が引き立ちます。幅広い年代で愛される【絞り】 その魅力をお伝えしましょう。
目次
1.価値ある♪総絞りの振袖の魅力とは
①長く着られる
振袖は、未婚の女子の正装ですが、折角の振袖も結婚たり、年齢を重ねたら、着るのが難しくなってしまいます。幾つになっても振袖を着るというのは無理があるのです。着られなくなった振袖は、どうすればいいのでしょう。
まずは、代々伝えて行くという方法があります。着物は仕立て直しなどして、子から孫へと伝え着ていくことも多い衣装です。高価な総絞りの振袖なら、その価値は充分にありますね。
振袖を購入する人も、レンタルする人も、まずはお気に入りの振袖を見つけよう♪
長い袖を切って、訪問着として着続ける方法も見逃せません。子供が生まれても、女の子とは限らない…そんな将来の不確定な話より、気に入った着物は、自分で着ていくのも良い方法でしょう。しかしこれは、訪問着に向いた柄行きの振袖の場合。総絞りの振袖の場合は、小紋のように一面細かい絞りを施した品があります。これなら、袖を短くしても、贅沢なお洒落小紋として、ずっと着続けることができます。年をとってもずっと着られる…お気に入りの着物なら、嬉しい限りですよね!
総絞りの振袖なら、成人式が終わってもおばあちゃんになっても長く着続けられます。
②個性的
今は振袖も大量生産の時代なので、成人式に行くと似たような振袖を着た人に出会うかもしれません。総絞りの振袖は、一見すると柄が大きくカラフルな振袖より地味に見えるかもしれません。
しかし、立体的な質感やコーディネート映えするという良さがあります。また、絞りには総絞りだけでなく一部のみ絞り加工が施されている着物もあります。みんなと同じような振袖にしたくない方には、総絞りの振袖をオススメします。
2.総絞り・絞りの着物のコーディネート
①黒の絞り
モノトーンの見事な総絞りの振袖。立体的な絞りが施される生地は、どこから見ても豪華な逸品です。着物地が黒白とモノトーンなので、ポイントとして帯と帯締めがカラフルんい。必要以上に色を使わないことで、金髪のキッチュなヘアスタイルがより引き立っています。半襟は潔い白で清潔感を。ボリュームのある茶色のファーをあしらって、個性的かつ品のある総絞りコーディネートに仕上がりました。
②赤の絞り
絞りの振袖はボリューミーになりやすいので、流れのある熨斗(のし)模様は最適のデザインです。柄も四季折々の花々で、若々しく振袖にはぴったり。帯は白地に赤と緑の模様で、明るいものを用意しました。
帯締めは、振袖ならではの華やかな黄色とピンクの花飾りタイプ。重ね襟や半襟は、優しいピンク系の花模様で、優しい雰囲気にしました。胸元は、ボリュームを抑えるため、あえて絞りの帯揚げをやめて、可愛らしいオレンジ系の帯揚げでスッキリと着こなしています。
③水色の絞り
鮮やかな青に色とりどりの花が美しい、辻が花の振袖。細かい花びらが着物全体に散りばめられ、華やかで、小柄な方にも似合う人気のデザインです。明るい黄色や紫を帯や帯揚げ、襟元に使い、視線を上部に持ってきて、背を高くみせる効果も作っています。袖、裾、胸元とどこを見ても、絞りに花が立体的に映って、振袖ならではの豪華な作品です。
4.絞りの振袖の販売とレンタルの相場とは
職人による手作業で国産のブランドものの場合、絞りの振袖では最大90万円ほどの値がつくものも当たり前に流通しています。それ以外の絞りの振袖の場合は、だいたい35~55万円前後で販売されています。楽天市場のようなネット通販の場合、最安値で10万円前後から販売されています。
一方、絞りの振袖をレンタルする場合は25~30万円で利用が可能です。絞り風にみせたインクジェットプリントの振袖の場合は、もっと低い価格(10万円台)で利用が可能です。
5.絞りの振袖の種類
①有松絞り
愛知県名古屋市緑区の有松・鳴海地域を中心に生産されている絞り染めが有松絞りです。江戸時代初めから生産されているという歴史の深い絞りの一種で、国の文化財にも指定されています。
有松絞りを始めたのは、稲作に適さない有松地域の宿場に住んでいた竹田庄太郎。彼が工夫を凝らして開発した「蜘蛛絞り」は下書きが必要なく、染め上がりはまるで蜘蛛の巣上にみえることから名づけられました。
現在、絞り染めの大きな産地は京都と名古屋・有松の2か所のみ。有松絞りの振袖のレンタルは可能ですが、大手振袖チェーン店で見かけることはなかなかないかもしれません。
②藤娘きぬたやの総絞り
藤娘きぬたやは愛知県名古屋市にある絞り呉服専門店です。創業は昭和22年と歴史が深く、総絞りの着物を扱う店として非常に有名です。
6.総絞りの振袖がなぜ高価?
そもそも、どうして【絞り】は高価なのでしょう。それは、絞り布を作る工程にあります。図案を決めてから、染めない場所を糸で括る(絞る)これの工程は手作業で、相当の時間を費やすようです。数カ月、場合によっては数年かかることもあるのだとか。そして染色、糸を解いて最後に湯のしで布の表面を整えるのです。
細かい絞り模様の場合は、一着でも10数万粒以上も糸を括るといいますから、熟練の職人さんでも気の遠くなる作業ではないでしょうか。これだけ手の込んだ工程を重ねるのですから、お値段が高いのも当然のこと。長年に渡って、人気なのも分かります。
7.絞りとクリーニングの話
優しい風合いが人気の絞りの振袖ですが、気をつけなくてはいけないポイントは【クリーニング】です。着物のクリーニングは、特別な技術が必要ですが、得にこの絞りは難しいですね。クリーニングに失敗して、絞りが消えてしまうことあるのです。絞りは、一度平らになってしまったら、戻すことはできません。それほど繊細なものなのです。汚してしまってどうしても洗濯が必要な場合は、購入したショップと相談して、着物クリーニング専門の業者さんにお願いしましょう。
まとめ
絞りの振袖は染めの振袖にはない魅力があります。その分、お洗濯しづらいことと金額が高めな点がネックです。
絞りの振袖に手が届かない、、!なんて思うアナタ。最近では絞り風に見える洗濯しやすい振袖やリーズナブルな振袖も市場には出ています。ぜひ、お店で絞りの振袖・着物の良さを確かめてみてくださいね。