振袖は袖が長く背中には帯があるため、食事やトイレなどはどうしたらいいのか気になるところです。
普段通りの立ち振る舞いでは振袖を汚したり、着付けがくずれたりしないか不安に感じる人も多いでしょう。
そんな不安が解消できる、振袖を着る際の作法について解説します。
目次
1.振袖を着た際はゆっくりと優雅に振る舞うのが基本
着物は裾が長く背中にも帯があるため、普段と同じような歩き方や座り方は着崩れてしまいます。特に振袖は袖が長いので、食事やトイレなどで袖や裾を汚すことも。
振袖の美しい立ち振る舞いの基本は、ゆっくりと優雅に、一呼吸置いてから行動することです。
ここからは歩き方や座り方、食事やトイレなどシチュエーションごとに詳しくご紹介します。
2.振袖を着ているときの歩き方の作法
- 背筋をピンと伸ばす
- あごを引く
- ひざを内向きにする感覚で歩く
- 歩幅は足のサイズ分くらいで半歩ずつ歩く
大股歩きや外股歩きは着崩れて裾がはだけたり、足首が見えたりするためNGです。
立っているときは、右足を半歩後ろに引き、手は軽く前で揃えると袖の流れが美しく見えるのでおすすめです。左右の傾きや帯の下でお腹がぽっこりしていないか意識するのも美しい姿勢を保つコツです。
2-1.階段の上り下りの作法
階段を上り下りするときは、裾と袖を踏んだりひきずらないように注意しましょう。
- 袖は重ねて左手にかける
- ふくらはぎが見えない程度で右手で着物の端(上前)を軽く持ち上げる
3.振袖を着ているときの座り方の作法
振袖姿で座るときのポイントを椅子・正座・車のシチュエーションごとにまとめました。
3-1.振袖で椅子に座る際の作法
- 左手で袖を持ち、右手で上前を押さえながら座る
- 帯がつぶれないように浅めに座る
- 背筋を伸ばす
- 袖はひざの上に重ねる(床に落ちないようにする)
- 足は外側へ開かないよう内股気味にする
椅子の背もたれと体の間にバッグを置くようにすれば、自然と浅めに座れます。
深く腰かけたり背もたれに寄りかかったりすると、帯の形が崩れたり、襟の合わせが崩れる原因となるためNGです。
3-2.振袖で正座をする際の作法
- ひざに着物が引っ張られないように座る(右手でひざ下をおさながら座る)
- 座ったら袖を軽く左右または後ろへ流す
- 両足を揃えて背筋を伸ばす
- 立ち上がるときは、両手をひざの上に乗せたまま、腰を浮かせてから両足のかかとをあげ、つま先立ちする
- 敷居や畳の縁、座布団の上を踏むのはNG
3-3.振袖で車の乗り降りをする際の作法
- 足から乗り込むのは絶対に避ける
- 体の前で袖を合わせて少し持ち上げる
- 車に乗り込む際は1.お尻から座席に軽く腰かける、2.髪型を崩さないよう頭を車内に入れ、3.足を揃え、お尻を軸に体を回転させるようにして足を車内に入れる
- 車から降りるときは乗るときの逆(足→頭→腰)にする
普段車に乗る時のように頭や足から乗り込むと、裾を踏んでしまったり着崩れたりする原因となりますので、注意しましょう。
4.振袖を着ているときの食事の作法
振袖を着ているときは、袖も長く飲み物や食べ物で汚さないよう注意が必要です。
大きめのハンカチを持参して、ひざや胸元にかけておくと安心です。
また、食卓の上にある何かを取りたい場合は、いつものように手を伸ばすと腕が見えてしまいます。
無理をせずに周囲の人に頼んでとってもらうのがおすすめです。
5.振袖を着ているときのトイレの作法
振袖を着ているときのトイレは、袖や裾の汚れや裾やおはしょりのめくれに注意が必要です。手を洗う際には袖が濡れないようにしましょう。
- たもとの中央を帯締めに挟むか、両方のたもとを前で軽く結ぶ
- 振袖・長襦袢・裾よけを左右それぞれに持ち、一気に裏返しになるようにめくりあげる(ロングスカートをたくし上げる要領)
- 前だけではなく後ろも同時にめくりあげて、帯と着物の間に裾を挟んで固定する(クリップ使用がおすすめ)
- 便座には浅めに腰かける(帯が崩れるのを防ぐため)
- 内側から裾よけ(右→左)・長襦袢(右→左)・振袖(右→左)の順に元に戻す
- 着崩れを直し、袖を元に戻す
- 出る前に後ろのおはしょりがめくれて腰紐が見えていないか鏡で確認
慣れない人は袖や裾を留めるのにクリップなどをいくつか持ち歩くと便利です。振袖を着た際は、着付けができる人がそばにいる状態でトイレに入って練習してみると安心できるでしょう。
振袖を着た際の立ち振る舞いは日常生活とは異なるため事前にチェックするのがおすすめ
振袖をきれいに着こなすには、普段と違う立ち振る舞いと作法が必要です。
振袖を着た際の歩く時・座る時の立ち振る舞いや食事やトイレの際の作法についてご紹介しました。
当日になって慌てないためにも、事前にチェックしておきましょう。