着物の「古典柄」にはさまざまな種類があり、知性を表す「短冊」や何事も丸く収まるという意味の「手毬」などさまざまな柄があります。
一方、「小紋」という全体に細かい模様が入っている着物にも「縞」や「絞り」などさまざまな柄があります。
日頃着物をあまり着ない私たちは、着物の古典柄と小紋の柄の違い・決まりを知る機会があまりありません。
そこで、今回の記事では着物に少しご興味があるあなたに向け、着物の「古典柄」と「小紋の柄」の違いや代表的な柄を画像つきでお伝えします。また、番外編として最近人気の高い振袖の「レトロ柄」についてもご紹介します。
目次
1.着物や振袖で人気!着物の古典柄とは
①生地にあとから彩色される「古典柄」
着物の魅力の1つとして外せないの、生地に美しく織られた柄です。着物のシルエットは直線的ですが、生地の柄と帯などの小物の合わせで、着物はさまざまなコーディネートを楽しめます。
普段使いで着る着物の柄は、上記の画像のように生地を作る段階で「織られた」柄があります。振袖のように華美ではなく、シックな大人の雰囲気が漂いますよね。
着物生地の織り方には主に以下の3種類があります。
(1)平織(ひらおり)
縦(経糸)と横(偉糸)の糸を一本ずつ交差させる最もシンプルな織り方。丈夫で摩擦に強く、オックスフォードが代表的
(2)綾織(あやおり)
縦(経糸)と横(偉糸)の糸を一本ずつ交差させる最もシンプルな織り方。丈夫で摩擦に強く、絽(ろ)や紗(しゃ)が代表的。絽は、浴衣の素材としてもよく使われています。
(3)朱子織(しゅすおり)
織物の経糸と偉糸の交差部分がなるべく目立たないように織られており、経糸または偉糸のどちらかを長く浮かせて織る。光沢がある生地で、サテンが代表的
織られた柄とは別に、着物では織った生地にジェットプリントで印刷する、または職人さんが筆で染める着物(例、京友禅)があります。着物の織生地のように全体的に同じ柄を入れるわけではないので、着物生地を広げて「袖の部分にはこの柄を」「肩の部分にはこの柄を」というように、あらかじめ綿密に計算して柄を着物に配置していきます
通常、わたしたちは織った生地にあと付けで染められた柄の一部を「着物の古典柄」と呼ぶことが多いです。着物の古典柄は振袖レンタル店や通販でも非常に人気があり、さまざまな種類があります。
②着物の古典柄の種類と意味
着物の古典柄とは、手毬や扇など日本独特のモチーフを使った柄のことを指します。古典柄は訪問着、留袖だけでなく振袖でもよく使われているが柄です。
一部の振袖サイトなどでは、昔ながらの花柄や吉祥文様のことを「古典柄」と呼ぶこともあります。
(1)手毬
古典柄の手毬は古来ある玩具でした。今でいうソフトボールよりやや大きいものが江戸時代中期から庶民の間でも流行したと言われています。丸い形は「何事も丸く収まるように」という願いが込められた魔除けとしても使われていました。
(2)短冊
古典柄の短冊は俳句や短歌を詠む際に使う色紙です。着物の柄にすることで、学問成就や仕事での成功を願う意味が込められています。
(3)扇
古典柄の扇は平安時代の装身具でした。風情ある扇は、花嫁衣裳にも使われたことから高貴なイメージがあります。
(4)御所車(ごしょぐるま)
古典柄の御所車は京都御所付近で妻われていた乗り物です。柄では描かれませんが、牛が優雅に引っ張る姿は雅そのもののイメージです。
この他にも、日本の伝統的な古典柄には「扇(おうぎ)」や「鼓(つづみ)」など主に平安時代に流行した楽器や道具があります。
③着物の古典柄以外とその意味
着物の古典柄以外の着物の柄は、主に以下のような柄があります。
当サイトの以下の記事でも触れていますので、よろしければ合わせてご参照ください。
(1)花や草などの自然現象の柄
着物の柄では主に「花や草などの自然現象の柄」がよく使われています。例えば、以下のような柄があります。
・牡丹
牡丹は着物の柄で愛されるモチーフの一つです。古くから「百花の王」と称され、大きな花びらは高貴さや豊さをしています。
・椿
椿は日本が原産の花で、厄除けや聖なる木として親しまれてきました。冬の花なので、成人式の振袖の柄としてもピッタリです。
・波(光琳波)
尾形光琳の画に描かれている波をモチーフとした波です。波のうずまきを流れる線で表現し、流水柄と同じく着物で人気の高い柄となっています。
・雲取り
連続した雲の形をかたどった柄を雲取りと呼びます。昔の人は、さまざまな形に変化する雲に興味を寄せ、雲の形により今後の兆しを占うこともあったと言われています。
雲がフワフワと漂う姿から、苦労せずに悠々自適な生活ができるようにとの願いをこめて雲取りが着物の柄に選ばれています。
・花丸紋
花を丸型にした柄で紋のような文様なのでこの名前が付けられました。花の茎を丸い形に描き、生活が丸く収まるようにという願いが込められています。
(2)中国から伝来した有職文様(ゆうそくもんよう)
知識人や研究者が着用したと言われる有職文様は、中国唐朝時代に伝来した拡張高い柄です。
・亀甲文(きっこうもん)
六角形の幾何学模様である亀甲文は、着物だけでなく調度品にも家紋として取り入れられていました。画像では六角形の中に花が描かれていますが、この他にも亀甲の形自体を変化させた結び亀甲や鉄砲亀甲などの種類もあります。
(3)日本古来の伝統的な柄の吉祥文様(きっしょうもんよう)
・松竹梅
松竹梅は古くから日本でおめでたいモチーフとして長く親しまれてきました。植物の松・竹・梅を同じ柄の中に配置するのですが、元々は中国の宋時代に始まった文人画の「歳寒三友」という画題に松・竹・梅が描かれており、それを真似て日本ではおめでたいもの、として扱われたようになったという説があります。
・鶴
着物に描かれた鶴には「長寿」の意味が込められています。
(4)辻が花はさまざまな技法をミックスした柄
草花の模様を絞り染め・筆での染色・金箔の貼付・刺繍など、手間がかかる技法をミックスして表現した優美な柄です。戦国時代の室町~桃山時代にかけて発展しました。画像のように、短冊も辻が花でよく使われるモチーフです。
最近では、リーズナブルな辻が花柄も出回っています。アジアなどの工場で絞り染めされた生地に、ジェットプリントで絞り染めを印刷することでコストを抑えています。
2.着物の小紋の柄とは
着物には「小紋」という細かい柄が全体的に入った生地で仕立てられた着物があります。通常、小紋以外の着物では着物の柄の位置(絵付け)で格があり、着ていける場所も決まるというルールがあります。
しかしながら、上下左右関係なしに全体に柄が入った小紋は普段使いできる着物として「カジュアル」に分類されます。
これとは逆に、着物の留袖は礼服として格の高い着物に分類されます。
小紋の柄には、例えば以下のような柄があります。
・七宝つなぎ
・鱗(うろこ)
3.振袖のレトロ柄とは
最後に、振袖のレトロ柄についてお話しますね。
振袖は、ご存知の通りハタチを迎える女性が成人式で着る晴れ着として知られています。最近では、振袖をレンタルする方も多いですよね。
振袖でも着物のように古典柄が人気ですが、大きな柄と原色使いのレトロ柄もここ数年とても人気があります。例えば、振袖の定番の色は赤や黒ですが、レトロ柄の場合は可愛いライトグリーンやブルー、イエローなどのポップな色が主流です。
レトロ柄の流行は、こどもの七五三のレンタルにも影響しています。昔ながらの古典柄もありますが、こどもの七五三レンタルの着物でも楽天市場のような通販などではレトロ柄が売られています。
4.着物で知っておくべき通年の柄のお話
着物を着る際に堅苦しいルールがあると感じられている方が多いと思いますが、意外にルールは多くはありません。柄に関して言えば、「季節に合った花や草をチョイスした方がいい」というルールがあります。
例えば、紫陽花は夏に向きの柄、モミジは秋に向いている柄、藤は春の4月半ば~ゴールデンウィーク前までといった感じです。といった感じです。
といった感じです。
しかし、着物では通年OKの柄がたくさんあります。以下の柄は通年着用して問題ナシの柄となっています。
- 菊
- 桜
- 蝶
- 牡丹(他の柄とミックスの場合)
- 御所車
- おしどり
- 唐草
- 有職文様
- 吉祥文様
5.古典柄だけじゃない!振袖で知っておくべき柄のお話
振袖には上記でご紹介しました古典柄、レトロ柄の他に、最近ではバラやリボンなどを施した振袖も見ることができます。着物=日本の古い伝統、というイメージがありますが、若い女性が着る振袖の柄はどんどん進化しています。
成人式で振袖をお探しのアナタも、ぜひ振袖店でお気に入りの柄を探してみてくださいね!
まとめ
着物の古典柄には平安時代に親しまれた手毬や短冊などの柄があります。また、着物の古典柄以外ではおめでたい意味がある「吉祥文様」や知性を表す「有職文様」があります。
また、振袖には上記でご紹介しました古典柄、レトロ柄の他に、最近ではバラやリボンなどを施した振袖も見ることができます。着物=日本の古い伝統、というイメージがありますが、若い女性が着る振袖の柄はどんどん進化しています。
成人式で振袖をお探しのアナタも、ぜひ振袖店でお気に入りの柄を探してみてくださいね!