そんな時のために、なかなか消えてくれない匂いを解消するテクニックを2つご紹介します。
目次
1.振袖についた匂いはその原因によって解消法が異なる
振袖につきやすい匂いの主な原因はカビと防虫剤です。こうした匂いの解消法は原因によって変わってきます。まずは、お手元にある振袖の匂いの原因が何なのか確認しましょう。
2.カビによる匂いの解消法
高温多湿な日本の気候では、室内の除湿対策はしていても長いことタンスにしまったままの振袖の湿気を飛ばせません。
比較的湿気の少ない春と秋の年2回、着物を広げて陰干ししていればある程度予防できますが、現代の生活スタイルでは難しいところでしょう。
振袖に生えてしまったカビの匂いは、布と陰干しで取ります。
2-1.布と陰干しを使ったカビ取りの手順
この方法は、比較的新しく生えた白いカビを取るのに効果的です。茶色に変色した古いカビには向きません。
用意するものは、ゴーグルやマスク、ビニール手袋など自身をガードするものと、着物ハンガー、カビを落とす布です。
- ゴーグルやマスク、ビニール手袋などを装着する
- 屋外(あまり陽射しが強くない場所)で振袖を着物ハンガーに吊るす
- 布で振袖の表側を優しくなでるようにしてカビを落とす
- 布で振袖の裏側を軽くたたくようにしてカビを落とす
- 日光や蛍光灯を避けた場所でハンガーに吊るした振袖に風を通す
- 2週間〜1ヶ月程度風通しを続ける(夜間は湿気が多いため室内に取り込む)
この解消法のポイントは次の通りです。
- 直射日光や蛍光灯が当たる場所は、色やけを起こす可能性があるので避ける
- 着物ハンガーに振袖を吊るすときは、下に引きずらないように高い場所から吊るす
- 風通しをするときは、風通りが悪い場所では扇風機や冷風ドライヤーの微風を活用
- カビを取り除いた後は今まで使っていた「たとう紙(振袖を包んであった紙)は処分し、新しいものに交換
- この方法で解消できない状態のカビには、着物専門の洗いに対応している悉皆屋(しっかいや)または専門店に相談
3.防虫剤や古着のような匂いの解消法
着物に使われる防虫剤は「しょうのう」が主ですが、匂いがきついのが難点です。長期間しょうのうで保管していた振袖は陰干しだけでは匂いが消えません。
無臭の防虫剤で保管していた場合でも、古着のような匂いがついているケースがあります。その原因は長期間保存でタンスの匂いがうつってしまったり、食べ残しやタバコ・香水の匂いなどです。
3-1.ビニール袋と消臭剤を使った匂い消しの手順
陰干しだけで取れない匂いには、ビニール袋と消臭剤を使った方法がおすすめです。
必要なものは、たたんだ振袖が入る大きさのビニール袋(新品のゴミ袋など)と無臭の消臭剤、ガムテープです。
- 振袖をたたみ、ビニール袋に入れる
- 無臭の消臭剤を振袖から離して入れる
- ガムテープでビニール袋を密封
- 暗いところで1週間くらい放置したのち、匂いを確認
- 4で匂いが消えていない場合はさらに数日放置
この匂い消しのポイントは次の通りです。
- 振袖は消臭剤が行き渡りやすいようにふんわりたたむ
- 香り付きの消臭剤は匂いと混ざって悪臭になるためNG
- 消臭剤が振袖に触れていると変色の原因となるため密封前に位置を確認
- この方法で解消しない場合は、オゾン消臭など臭い消し加工専門店に相談
4.振袖の匂いを消すのにやってはいけないNG行為
振袖の匂いを消すのに時間が足りない、うまく匂いが消えてくれない場合でも絶対にやってはいけないことがあります。
- 匂いをごまかすために振袖に香水を直接ふりかける
- 市販のスプレー式の消臭剤を振袖にかける
- アイロンのスチームをあてる(一部可能な場合もある)
振袖は水に弱い絹の生地で作られています。そのため、香水やスプレー式の消臭剤を直接吹き付けるのは絶対に避けてください。
変色やシミ、生地の縮み、悪臭の原因となってしまうからです。
アイロンのスチームは軽い匂い消しには効果的ですが、生地が縮んでしまう可能性があります。必ず目立たない場所で試してから行い、金銀糸や箔の部分には当てないようにしましょう。
振袖に匂いをつけないためには正しく保管することが重要
長期間しまっておいた振袖についた匂いを消すためには、時間と労力が必要です。
比較的簡単にできる解消法をご紹介しましたが、それでも難しい場合は専門店などに相談をおすすめします。
これから先、振袖に匂いをつけないためには、着た後の汚れ取りや風通し、保管後も年に2回(春・秋)は広げて風通しをするなど正しい方法で保管することが重要です。
正しく保管すれば、親娘3代で同じ振袖を着ることもできます。思い出と一緒に大切に保管してくださいね。
振袖専門店一蔵では、こういったお悩みに対し、無料でご相談をお受けしております。
お気軽に、最寄り店舗へご相談くださいませ。