振袖を着るときに長襦袢は必要なの?着付けのポイントや注意点を解説

振袖を着る際に使用する長襦袢。肌着であり、着物を汗から守ったり、着崩れを防いだりする役割があります。本記事では、長襦袢とは何か、振袖を着るときに必ず必要であるのか、購入またはレンタルできるのかを紹介します。また、振袖の着付けのポイントや注意点も併せて解説するため、参考にしてください。

長襦袢(ながじゅばん)とは?

長襦袢とは、着物の下につける肌着のことです。着物は直接肌の上に着るのではなく、長襦袢などの肌着をつけて着るのが一般的であり、振袖を着る際に必要なものです。

長襦袢のほかにも、肌襦袢や半襦袢など種類がいくつかあり、着物を美しく着るためには欠かせないアイテムです。

特に、長襦袢についている衿元は、着物姿を美しく決めるポイントにもなるため、選び方や素材にこだわる方も多くいます。

長襦袢の特徴

長襦袢は、肌襦袢と着物の間に着るものです。まず、肌襦袢をつけて、その上から長襦袢、最後に着物という順番でつけます。

振袖の下に着る「重ね」としての着物であり、いわば振袖のベースとなる下着というよりは着物に近い存在です。

長襦袢は着物のように長くつながったものや、上下が分かれているものがあります(二部式襦袢)。袖がマジックテープで取り外しが簡単にできるタイプのものもありますが、そのタイプは付け替えが便利な点で使われることが多いです。

素材は、滑りやすい生地で作られていることが多く、正絹(しょうけん、シルク)やウール、麻などさまざまです。着物の滑りを良くして、着崩れを予防するためとされています。

しかし、長襦袢は洗濯をすると縮みやすく、しわになりやすいため、扱いには注意が必要です。

成人式の振袖における長襦袢の役割

長襦袢の役割には、寒さ対策、着物に汗や汚れがつくのを防ぐ、着こなしをきれいにする、といったものがあります。

また、長襦袢は振袖の衿元や袖口から見えるため、おしゃれとしての役割もあります。長襦袢につける半衿には、色付きや無地、レース素材のものなどがあり、着物のおしゃれさをプラスします。

長襦袢は振袖を着るときに必要か不要か

長襦袢は肌着だとわかりましたが、実際着るときに必要なのか、不要なのか疑問に思うでしょう。

以下に、長襦袢が必要である理由や、なくても着られる方法を紹介します。もし、長襦袢を着用したい場合は、レンタルまたは購入することを検討してください。

長襦袢は必要である理由

長襦袢は、着物を汚れから守ったり、滑りを良くして動きやすくしたりする他にも、防寒という役割があるため、必要です。

成人式は冬に行われるため、外にいると寒くなるでしょう。長襦袢を着ていれば、寒さ対策になります。

また、振袖は重くて動きにくいですが、長襦袢を着用すれば滑りが良くなり歩きやすくなります。そのため、長襦袢は必要であるといえます。

長襦袢がなくても着られる

結論から言うと、長襦袢がなくても着物は着られます。しかし、衿付きの肌襦袢や、美容衿で代用する必要があります。

衿付きの肌襦袢は、肌襦袢と長襦袢が合わさったようなものです。衿付き肌襦袢は筒袖といい、袖が筒状になっているため、着物のサイズを気にする必要がないのが特徴です。

美容衿とは、「うそつき半衿」や「仕立て衿」とも言われ、長襦袢の衿部分だけのアイテム

です。振袖は半衿が見えるのが必須のため、美容衿を肌襦袢の上につけることで、半衿を見せることができます。

長襦袢を着用しない場合には、代用をする必要があることを忘れないようにしましょう。

長襦袢がない場合はレンタルまたは購入しよう

長襦袢がない、または代用をしたくない場合は、レンタルや購入を検討しましょう。振袖レンタルの場合は、プランの中に含まれていることがあります。

ママ振袖や自分で振袖を持っている方は、購入しても良いでしょう。購入は呉服店や着物レンタル店、通販で可能です。値段は2,000円程度であることが多いです。

レンタルの場合は、自分のサイズに合わせたものを借りられますが、購入の場合は、着物のサイズに合わせて手直しする必要があるため、注意しましょう。

長襦袢の着付けのポイントや注意点

これまでの解説で、長襦袢の特徴や役割を理解できたのではないでしょうか。この章では、長襦袢のつけ方や着付けのポイントなどを解説します。

併せて、お手入れ方法やたたみ方を紹介するため、参考にしてください。

長襦袢を着付けする際のポイントと手順

着付けするポイントは3つあります。

  1. 着る前に衿芯を通す
  2. 背中心を合わせる
  3. 胸紐は身体の中心を避ける

長襦袢を着る際には、衿芯を通すのを忘れないようにしましょう。半衿の内側に通します。衿芯はとがっている方を衿の外側になる方に向けて差し込んでください。

衿芯が入ったら、長襦袢を羽織り、衿先を合わせて胸のあたりを手で持ちます。背中心を揃えて背縫いが身体の中心になるように持ちましょう。

衣紋は、こぶし1つ分くらい空くようにすると良いでしょう。そして、長襦袢の衿を右手で持っている下前に先に入れて、左手を上からかぶせます。クロスする位置は喉のくぼみあたりにして、衿山はバストトップを通っているようにしてください。

胸紐はアンダーバストを通して身体の中心を避けて結びましょう。結び終わったら、背中のしわを取って、胸紐の下のしわを脇に寄せるようにして取ります。

伊達締めをして完成です。着られたら、右手が衿元から入るかどうか確認しましょう。入らない場合は、逆になっているため、直しましょう。

長襦袢の半衿(はんえり)のつけ方

半衿とは、長襦袢の衿に付いている衿カバーのようなもので、振袖姿をきれいに見せるためのアイテムです。

半衿は長襦袢に縫いつけます。まず、しつけ糸とまち針、縫い針、アイロンを準備しましょう。

半衿を縁から2cmのところで折って、アイロンをかけます。半分に折って、アイロンで軽く印をつけるとわかりやすいです。印をつけたところを長襦袢の背中心に合わせて、等間隔でまち針を打ちます。ポイントは、長襦袢の衿に半衿を沿わせてアイロンをかけることです。

そして、縫い始めます。外側(表側)が見えないため、大き目に縫っても問題ありません。縁から2~3mmのところを縫うと良いでしょう。半衿の端は、折り曲げて縫うようにしてください。半衿の真ん中から左へ、真ん中から右へと2cm、しつけ縫いを行います。

次に内側を縫います。アイロンをかけてまち針を等間隔に刺して印をつけます。縫い方は外側とは違い、まつり縫いをします。注意するのは、縫った糸が目立たないように、細かくきれいに縫うということです。

最後にアイロンをかけて完成です。半衿がヨレヨレにならないように縫うのを意識してください。

長襦袢のお手入れ方法

長襦袢のお手入れ方法としては、4回以上着たらクリーニングに出すのが好ましいでしょう。また、長期保管の前には、必ずクリーニングするようにしてください。

しかし、クリーニングに出さずとも、自宅で洗えるものもあります。長襦袢の生地によって、洗濯できるかできないか変わるため、必ず確認しましょう。

麻や化学繊維でできた長襦袢だと、自宅で洗えますが、縮みやすいため注意してください。

半衿は外して別で洗います。不安な場合は、クリーニングに任せましょう。

長襦袢を手洗いする場合は、おしゃれ着用洗剤や洗面器、大きめのタオルを準備して手でやさしく洗います。

干す前にアイロンがけをして生地を伸ばす必要があります。低温にして生地を引っ張りながらかけましょう。半乾きの状態で和装用ハンガーにかけて陰干ししてください。

まとめ

本記事では、振袖を着る際に長襦袢は必要なのか、長襦袢の特徴や着付けのポイントを解説しました。

長襦袢は振袖に汚れがつくのを防いだり、汗を吸収したりする他に、防寒対策にもなるため必要です。しかし、長襦袢がなくても衿付きの肌襦袢や、美容衿で代用できるとわかったのではないでしょうか。

長襦袢のお手入れにはクリーニングがおすすめですが、自宅の洗濯機での洗濯や手洗いは可能です。しかし、素材によって洗えないものがあるため、確認してください。

振袖をきれいに見せるには、肌着である長襦袢が大切です。衿でおしゃれを楽しめるため、振袖を着る際にはぜひ長襦袢を着ましょう。もし長襦袢がなければ、レンタルや購入を検討してください。