長襦袢や半襟、帯締めなど、着物まわりの小物や下着の名前には、聞きなれないものがたくさんありますね。ここでは振袖の次に大切な存在といってよい長襦袢(ながじゅばん)についてご説明します。
目次
1.振袖の下に着る長襦袢(ながじゅばん)って何?
実は着物の下には二種類の下着を着ることが基本です。まず素肌の上に直接つける「肌襦袢(はだじゅばん)」、そしてこの「長襦袢(長襦袢)」です。長襦袢の役目は、振袖の下に着る「重ね」としての着物であり、いわば振袖のベースとなる下着というよりは着物に近い存在です。
実際着用するときには、この長襦袢に半衿を付けて、二枚の着物を「重ねて」着ている様に見せるのです。 肌着、下着としての役目は肌襦袢になります。 そして振袖に着る長襦袢は振袖にふさわしい格のある長襦袢を用意します。
振袖を誂えるときは長襦袢も一緒に用意されるでしょうし、レンタル振袖の場合も同様です。振袖は「未婚女性の礼装」というポジションにある着物です。したがって振袖の長襦袢は白、もしくは薄いピンクや薄い黄色など、淡い色合いで、かつ無地に近いものが振袖に取りあわされます。
礼装でなくおしゃれ着、外出着としての着物の着こなしであれば、上記の画像のように長襦袢用の生地から凝って長襦袢を作る、というぜいたくな長襦袢を用意することもあります。しかし、振袖の場合は、以上の理由のとおり礼装にふさわしい長襦袢を選びます。
2.長襦袢=肌襦袢+裾除けです
肌襦袢は裾よけとセットで着用します。下着でいうならば肌襦袢がキャミソール、裾除けがロング丈のペチコートと考えるとイメージしやすいでしょう。素材は汗を吸いやすいように色の白い綿素材のものがほとんどです。 そして、素肌もしくは着物用ブラ焼き物用キャミソールの上に着ます。カシュクールの様に腰の辺りをひもで縛って止めます。 着物によって取り合わせを変える長襦袢と異なり、訪問着でも普段の着物にも、下着として着ることができます。
振袖を購入する人も、レンタルする人も、まずはお気に入りの振袖を見つけよう♪
3.長襦袢と半襟の付け方
長襦袢には半襟といって振袖からチラリと見える襟の部分を縫い付けます。これから振袖レンタルをされる方であれば、既に長襦袢にセットされているものを貸してくれます。
もし、お母さまの振袖を着る方で半襟をレースなどに変えたい!という場合は、長襦袢についている半襟の糸をほどき、長襦袢の背中心に半襟の中心を合わせてザクザクと塗っていきます。
4.振袖用の長襦袢の素材・袖の長さ・サイズ直し
振袖用長襦袢にふさわしい素材 未婚女性の第一礼装である着物、という振袖の着物としての「格」を考えると絹を選びたいところです。着心地がよく、何より冬の寒い時期によくある静電気が起こりません。しかしながら、経年による色の変わり、シミのできやすさからポリエステルなどの化繊素材もよく使われています。ホームクリーニングが可能で気の張らない素材であることから人気がありますが、着心地と静電気問題では絹に軍配が上がります。
振袖用長襦袢にふさわしい長襦袢の袖 長襦袢は、着物にあわせて選ぶものですから、当然袖の長さも着物に合わせます。そうしなければ袖口から不自然い長襦袢がのぞくなど、着付けがとてもみっともないものになってしまいます。 当然、振袖と長襦袢の袖丈もそろっている必要があります。振袖の場合は通常の着物の袖丈いわゆる「1尺3寸(約40cm)」の袖と比べれば、その袖丈は1m近くにもなります。サイズが大きい長襦袢の場合は、カットせずに着物のようにおはしょりして着れば問題ありません。
5.長襦袢のお手入れとたたみ方
・長襦袢のお手入れ
長さのある着物ハンガーに掛けてつるしておきます。長襦袢に残る湿気や体温をしっかり取っておかないとシミやカビの原因になります。 また、半衿は取り外して洗っておきます。
・長襦袢のたたみ方(ほぼ浴衣と同じ手順になります)
- 1.床や畳など、広い場所で振袖を衿を左側にして広げます。
- 2.上前を上にして、右脇の縫い目から折り、右袖を3分の2の幅のところで折り返します。 3.左側も脇から折って同様に折り返します。
- 4.裾を持ち、二つ折りにして重ねます。もしくは、丈を三分の一に折ってからさらに半分に折ります。
完成です。
まとめ
長襦袢は、振袖の下に着る肌着という位置づけのものではなく、振袖を引き立てる役目をしてくれる大切な存在です。着物を着用する順番が、「肌襦袢 → 長襦袢 → 着物」であることを知っておくだけでも着物を着ることへのハードルが低くなることでしょう。長襦袢は着物の着こなしの中(でも最重要アイテムです。大切な振袖をより輝かせてくれる長襦袢にもきちんと振袖にふさわしいものを選びたいですね。