振袖は色や柄が魅力ですが、帯結びも重要です。特に成人式は、華やかさを演出するため、結び方もアレンジする方が多いでしょう。可愛らしい結び方や、カッコよくみせる結び方など、さまざまあります。本記事では、成人式にふさわしい結び方はあるのか、どの結び方が合うのかについて紹介します。併せて、帯結びの種類や、結び方のアレンジ方法についても解説します。振袖の色や柄、帯結びを納得いくものにして、素敵な着こなしにしましょう。
目次
振袖に合う基本の帯結びは3種類
振袖の帯結びは、3種類あります。
- 浴衣帯結びにも使われる「文庫結び」
- リボン結びを斜めにしたような形状の「立て矢結び」
- 袋帯とも言われる「お太鼓結び」
その中でも、現在の振袖の帯結びの主流である「文庫結び」と「立て矢結び」は、多数のアレンジ方法があります。
帯の種類や特徴を紹介します。
リボン風に見える文庫結び
江戸時代では、武家の女性が好んだ結び方であったと言われています。伝統的な結び方のひとつで、リボン風に見える結び方です。文庫とは本来、本や手紙を入れておく小箱のことで、文庫結びは小箱のように四角い形をしているのが特徴です。
文庫結びは浴衣や振袖だけでなく、花嫁衣裳の打掛にも使われ、使う帯の種類によっては格が全く変わります。帯の巻き方は右から左に巻く方法や、左から右に巻く方法があります。
羽根の向きや開き方によって雰囲気が異なるため、振袖の色や帯によって変えてみると楽しめます。控えめで清楚な印象を与えるので、シンプルに装いたい人におすすめです。
文庫結びの帯の羽根は下に向けて垂らすのが基本です。垂らした羽根の長さは、伸びの真ん中くらいまでに留めるのがすっきりしてバランスが良いとされています。
ただし、帯と振袖の合わせ方や帯の色柄によっては長めに垂らしたほうが良いこともあるため、着付けするスタッフと相談して決めると良いでしょう。
立て矢結び
立て矢結びは、蝶結びを斜めにしたような結び方で、江戸時代に大奥で働く女性がしていた結び方と言われています。
背中より大きい蝶結びというインパクトで、個性が出る結び方です。立て矢結びは縦方向に視線が流れるため、身長が高い方におすすめです。
現在の立て矢結びは左肩あがりに結ぶことが多いでしょう。立て矢結びはゴージャスで立体感のある華やかな雰囲気を出せます。成人式はもちろん、結婚式の花嫁衣装など、自分がメインになるお祝いの場でよく使われます。
ひだを多めにとったり、羽根を重ねたりしてアレンジが可能です。
お太鼓結び
お太鼓結びは、年齢や未婚、既婚を問わず広く結ばれている帯結びです。江戸時代末期に亀戸天神(東京)でのお祭りの際に、芸者衆が結んだ帯の形が始まりだとされています。文庫結びや立て矢結びよりも後に生まれた結び方のため、歴史は意外と新しいものです。
お太鼓結びには、一重太鼓と二重太鼓の2種類があります。
一重太鼓結びは、長方形の帯の形を生かした結び方で、後ろから見ると正方形(お太鼓)に見えるシンプルな形となっています。使用する帯は名古屋帯または袋帯で、合わせる着物として、小紋や紬、浴衣とさまざまです。
二重お太鼓結びは、お太鼓の部分が二重になったもので、一重太鼓より格が高いとされています。二重にすることで、帯のボリュームを出せるため、色無地や訪問着などに合わせるのが特徴です。
また、二重太鼓結びには、「喜びや幸せが重なるように」という意味もあり、結婚式や入学式など、おめでたい場面で結ばれることが多いです。
振袖用にアレンジした帯結び6選
振袖の色や柄に華やかさや立体感を加えるなどして、アレンジした結び方があります。
- 巾着結び
- 花結び
- ふくら雀結び
- 薔薇結び
- うずしお結び
- 胡蝶の舞
上記の6つを紹介します。アレンジした結び方で個性を出すことができるでしょう。
巾着結び
文庫結びの縦の結び目をアレンジする方法が巾着結びです。縦の結び目を大きくとることで、羽根を小さく見せ、巾着のようにしています。小ぶりのため、可愛らしい印象になります。ふんわりとした立体感が出せるだけでなく、古典柄の振袖にも似合います。
成人式や卒業式、結婚式などイスに長時間座る式典に出席するときに合う結び方です。レトロな雰囲気を演出できるため、地色が暗めでも、合わせられます。
花結び
巾着結びと同じく、文庫結びをアレンジしたもので、小さなひだを重ねて花びらのように見せる結び方です。蝶が止まったような可愛らしい仕上がりとなります。
華やかでボリュームがあるため、柄の少ないシンプルな振袖にアクセントとして加えられるでしょう。また、振袖の柄に花が描かれている場合は、帯を花結びにすることで、統一感が増します。お花の中心に飾り紐や余った髪飾りなどを着けるのがトレンドです。
アレンジ次第で、ガーリーに魅せたり、洗練された雰囲気になったりする結び方です。
ふくら雀結び
ふくら雀結びは太鼓結びを基本とした結び方です。寒い冬に全身の羽毛に空気を入れて寒さをしのいでいる雀の姿を図案化したものです。福や繁栄を願う縁起の良い帯結びとされています。成人式だけでなく、お見合いや結納でも結ばれることが多いでしょう。
どのような体型の方にも似合い、女性らしさやゴージャスさを印象づけられます。ふっくら仕上がるため、可愛らしい印象にもなる伝統的な帯結びです。
帯は硬めのものが形を作りやすいです。柔らかいものだときれいに仕上がらない可能性があるため注意しましょう。
薔薇結び
薔薇結びはトレンドの結び方で、人気があります。帯をひねって薔薇の花びらをかたどった、豪華な結び方です。リボン結びからのアレンジや、中心にボリュームがあるものなど、種類はさまざまです。
身長が低めな方は、丸いシルエットの薔薇結びをすることで、全体のバランスが取りやすいでしょう。薔薇結びする際には、三重仮紐を使用します。
また、左右をアシンメトリーに結び、左の羽根に薔薇をしつらえた華麗な結び方もあります。シックで落ち着いた色合いの振袖に似合うでしょう。
うずしお結び
立て矢結びをアレンジした結び方のうずしお結びは、上下左右に羽根が散らばるのがうずしおのように見えることから名付けられました。
立て矢結びの羽根を短めにとって、残りの帯で2つの羽根を作り、結び目にしまう結び方です。
胡蝶の舞
胡蝶の舞は、リボン結びを重ねることで、飛んでいる蝶を連想させる結び方です。リボンが複数できることで、可愛らしい印象になるため、お正月やお祝いにぴったりです。単純な結び方ですが、バランスが難しいため、硬めの帯で結ぶと良いでしょう。
背中がすっきりとまとまった印象になるため、背の高い人に向いていますし、暖色系の振袖にも似合います。帯の色は白やピンク系、黄色系がよく似合うでしょう。
振袖の帯結びで注意すること3つ
振袖の帯結びで注意することとして3つ挙げます。
- 着付けスタッフはすべての結び方ができるわけではない
- 帯の長さを確認しないと結べない場合がある
- 帯結びの決め方は雰囲気や体格も考慮しよう
以下に解説します。
着付けスタッフがすべての結び方ができるわけではない
好きな結び方を見つけても、自分が担当する着付けスタッフが結べるとは限りません。
そのため、結び方をいくつか選んでおき、スタッフに事前に結び方ができるか確認しておきましょう。
または、自分で結んでみるのも良いでしょう。インターネットで検索すると、結び方の動画がいくつか見つかるはずです。自分で結べるようになると、着崩れした際にも直すことができます。
帯の長さを確認しないと結べない場合がある
振袖の帯は袋帯ですが、長さは約4m15cmあります。しかし、ママ振袖など、母から受け継いだ帯であれば、少し短く約4mです。そのため、長さが足りず結べない可能性があります。
また、胴回りがふくよかな方は、胴回りに長さをとられ、飾り結びするための長さが足りなくなるため、結べないことがあるでしょう。
このように、長さを確認して結べるかどうか試してみてください。前撮りの際にどの結び方なら長さが足りるのか、実際に結んでみるとわかります。
帯結びの決め方は雰囲気や体格も考慮しよう
帯結びは可愛さだけで選ぶことが多いですが、振袖との雰囲気や体格も考慮する必要があります。
たとえば、黒や紺色のシックでカッコいい印象の振袖の帯を、リボンのような可愛らしい結び方にすると、統一感を感じられず、帯が浮いて見えることがあるでしょう。
高身長の方におすすめの帯結びは、立て矢結びや垂れ下がる結び方です。大人っぽさを演出できて、高さが活かされます。
小柄な方におすすめの帯結びは、リボン結びやお太鼓結びです。帯の位置を高くし、背中の上の方でまとめることで、バランスのとれた仕上がりになります。また、華やかさを足したり、可愛らしい雰囲気を出したりすることも可能です。
まとめ
本記事では、振袖の帯結びについて解説しました。結び方次第で、振袖のイメージや印象を変えられるとわかったのではないでしょうか。
基本的な結び方は3つで、文庫結び、立て矢結び、お太鼓結びがあります。薔薇や花結び、うずしおなどにもアレンジが可能です。
しかし、着付けスタッフはすべての結び方ができるわけではないため、事前に確認をする必要があります。帯の長さは約4m15cmで、身体が大きめな方は、胴に長さがとられ、飾り結びの長さが足りなくなることがあります。実際に結べるのか前撮りなどの着付けで試してみると良いでしょう。
帯結びの決め方は、自分の体格や振袖の雰囲気に合わせましょう。自分に合う好きな結び方を見つけてみてください。
決まらない方は着付けのスタッフと相談しましょう。あなたに似合う結び方をしてくれます。ICHIKURAでは、着付けスタッフと納得いくまでご相談可能です。コーディネートも併せてしてくれるため、自分に合った着こなしができます。振袖や帯結びはICHIKURAにお任せして、素敵な振袖を楽しんで下さい。