振袖の柄の意味知ってる?意味を知ればより特別に♡

華やかな振袖の柄には、ひとつひとつにちゃんと意味があるのをご存知ですか? ここでは、代表的な振袖の柄とその意味についてご紹介します。意味がわかると、振袖を着るのも見るのももっと楽しくなりますよ。

【基礎知識】振袖の柄に用いられる吉祥文様と有職文様とは

振袖に用いられている柄は、大きく分けて2つに分類されます。

  • 吉祥文様
  • 有職文様

それぞれの文様について、詳しくご紹介します。

吉祥文様

吉祥文様とは、縁起が良いとされる動物や植物などをモチーフにして描かれた文様のことです。それぞれの文様には、「長寿」や「子孫繁栄」「夫婦円満」などの意味が込められています。お祝いの席にふさわしい柄として、振袖や留袖などの着物だけでなく、食器や工芸品などにも用いられています。

有職文様

有職文様とは、貴族の衣装に用いられていた格式のある文様のことです。動物や植物だけでなく、自然の景色をモチーフにした文様が用いられています。現在でも優美で縁起が良い柄として、振袖や留袖などに用いられています。

植物文様

植物文様とは、植物をモチーフに描かれた文様のことです。本記事では、13種類の植物文様についてご紹介します。

・辻が花

絞り染めに描き絵や摺箔、刺繍などを使って描かれた辻が花。柄そのものというよりは、このような絞り染を主体にして描く技法のことを指す場合が多いかもしれません。

名前の由来は、十字(辻)の中に花が並んでいるからという説や、「つつじが花」がなまったからという説など諸説あり、はっきりとはわかっていません。室町時代後期から江戸時代初期にかけて特に流行した柄で、豊臣秀吉や徳川家康などの武将にも愛されていたそうです。歴史を感じる柄ですね。

・ユリ

洋風の、モダンな雰囲気の振袖によく使われるユリの花。ユリの花は大きく華やかで、昔ながらの花柄とはまた違った美しさを楽しめます。

ユリの花言葉は「純潔」や「無垢」。また、フランス王家の紋章(フルール・ド・リス)にも使われていたことから、高貴などの意味も込められている花です。凛とした上品さを感じさせる柄ではないでしょうか。

・バラ

ユリとならんで人気の高いバラの花柄。ユリ同様、洋風の、モダンな雰囲気の振袖に使われていることが多いようです。

バラの花柄を選ぶときには、色に注目するのがポイントです。バラは、色によって意味が変わります。代表的なものをいくつかあげておきますので、参考にしてください。

  • 赤 愛情、情熱
  • 青 夢の実現、奇跡
  • ピンク 上品、淑やか
  • 白 清純、尊敬、
  • 黄 可憐、友情

・牡丹

中国では「百花の王」とも呼ばれる牡丹。何重にもなった花弁がふっくらと開き咲く様子は、華やかさだけでなく豊かさも感じさせます。

そのため、牡丹は昔から「富貴」「豪華」「幸福」の象徴とされてきました。豊かさ、華やかさを演出したい場にぴったりの柄のひとつです。

また、牡丹のつぼみはその大きな花に比べると比較的小さめです。そのことから「やがてふっくら大きく美しく咲きますよ」という意味も。成人式など、これからの成長を予感させる場にもふさわしい柄ではないでしょうか。

・桜

振袖の柄としてトップクラスの人気を誇る桜。生命が芽吹く春の訪れに咲くことから、おめでたい雰囲気を感じさせる柄です。また、ほぼ一斉に花を咲かせることから、豊かさや繁栄という意味も込められています。

日本の国花でもあり、振袖以外の着物はもちろん、和柄のバッグやアイテムにもよく使われます。万人受けのいい、オーソドックスな美しさを感じさせる柄といえるでしょう。

・椿

年中青々とした光沢ある葉をつけている椿。その葉の青さから「艶葉木」と呼ばれたのが椿の語源と言われています。

そんな生命力のせいでしょうか、平安時代にはすでに椿は魔除けの木として知られるようになりました。そして吉祥文様の一種として着物の柄にも取り入れられるようになったのです。

椿は花がぽとりと落ちるため縁起がよくないという人もいるかもしれません。しかし同時に、椿はこのように魔除けという意味も込められています。縁起が悪いと敬遠せずに、じっくり見ていただきたい柄のひとつです。

・菖蒲(あやめ)

菖蒲は「あやめ」のほか「しょうぶ」とも読みます。そのため、「しょうぶ」が「勝負」「尚武」に通じるとして、武家から特に好まれた柄のひとつです。

そんな菖蒲ですが、一般的には魔除けや、長寿を願う意味を込められることが多い柄です。まっすぐに伸びた香りの良い葉が、魔を打ち払う剣に見立てられているのだとか。凛とした美しさが魅力的な柄です。

・松竹梅

吉祥文様として有名な松竹梅は、中国で好まれた絵の題材のひとつ「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」に由来します。

寒い冬の時期にも青々とした葉をつけている松と竹、そしてそんな冬を乗り越えて可憐な花を咲かせる梅。これらの特徴から、松竹梅は中国では清廉潔白の象徴とされていました。しかし、日本にやってきてからは、苦難に耐えみごと花開く様子がおめでたいとして吉祥文様のひとつになりました。着物に限らず、さまざまなおめでたい席で使われる柄です。

・橘(たちばな)

橘は、長寿や子孫繁栄の意味が込められている柄です。日本で一番古い本である「古事記」には、不老不死の理想郷に生えている植物として橘が記されています。振袖や留袖などの婚礼衣装に用いられるだけでなく、家紋にも使用されています。

・藤(ふじ)​

藤は、「不死」と同じ響きであることから、長寿や子孫繁栄の意味が込められている柄です。平安時代の貴族である藤原氏が繁栄したことで、高貴な花として扱われるようになりました。おめでたい席にふさわしい柄として、婚礼の衣装に用いられることも多く、家紋としても使用されています。

・菊(きく)

菊は、邪気払いや長寿の意味が込められている柄です。元々は、中国から薬草として日本に伝わったとされています。皇室にも使用されている高貴な花として、日本ではパスポートにも用いられています。振袖には丸くて可愛らしい「万寿菊」や、長い花びらが綺麗に咲き誇った「乱菊」など、華やかな菊が用いられることが多いです。

・梅(うめ)

梅は、長寿や逆境にも耐えるなどの意味が込められている柄です。梅は寒い冬の季節に咲く花として忍耐力があるとされていて、日本では「万葉集」や「古今和歌集」などで梅に関する歌が数多く詠まれていました。振袖には「捻れ梅」や「槍梅」など、さまざまな梅の柄が用いられています。

・桐(きり)​

桐は、鳳凰が棲むとされている高貴な植物として、格式のある文様として用いられている柄です。お祝いの席にふさわしい柄として、婚礼衣装や家紋にも使用されています。現在は、日本政府のシンボルとしても使用されている柄です。

動物文様

動物文様とは、動物をモチーフにした文様のことです。本記事では、5種類の動物文様についてご紹介します。

・鶴

おめでたい柄、縁起のいい柄である「吉祥文様」。鶴はその吉祥文様のひとつです。

鶴がおめでたい柄とされる理由は2つ。ひとつめは、「鶴は千年亀は万年」と言われるほど長寿の動物であるとされてきたこと。そしてもうひとつは、一度夫婦になると一生その夫婦のままであるという仲睦まじさから。

この人!というパートナーと出会い、その人といつまでも仲睦まじく長生きしてほしい。そんな意味も込められる柄なのです。

・花喰鳥(はなくいどり)

花喰鳥とは、花や枝を加えて羽ばたく鳥の文様。なんと、ササン朝ペルシャが起源と言われている古い柄なのです。正倉院にも、花喰鳥を使った工芸品がおさめられているのだとか。

花喰鳥は、幸福を運んでくる鳥と言われる吉祥文様のひとつです。よく見ると、花を加えている鳥のバリエーションも鳳凰やオウム、鶴などさまざま。お好みの鳥が描かれているものを探すのも楽しいかもしれません。

・うさぎ

古典柄にもしばしば登場するうさぎ。干支にもなっている動物のため、うさぎ年生まれの方には特に人気がある柄です。

うさぎは、前へ前へと早く飛び跳ねて進みます。このことから、ものごとが順調にとんとん拍子に進むという意味が込められています。何か叶えたい目標がある人にはぴったりの柄ではないでしょうか。

・蝶

古典柄はもちろん、モダン柄としてもよく使われる蝶。女性らしい印象を与える、人気の柄のひとつです。

幼虫、さなぎ、そして美しい蝶へと姿を変え空に舞う様子に、昔の人々は「不死」「不滅」の意味を託しました。このことから、常に死を意識していたであろう戦国武将も好んで蝶の文様を使っています。

・鳳凰(ほうおう)

鳳凰は、不老不死や夫婦円満、邪気払いなどの意味が込められている柄です。中国から伝わった架空の動物で、平和と幸福を象徴する動物といわれています。振袖では、鳳凰の尾の部分が色鮮やかに描かれていることが多く、豪華な見た目から華やかでおめでたい成人式にぴったりな柄です。

自然文様

自然文様とは、自然の景色をモチーフにした文様です。本記事では、3種類の自然文様についてご紹介します。

・雪輪(ゆきわ)

雪輪は、ふんわりとした牡丹雪を図案化した柄。雪は春になると溶け、草木を茂らせ、米が育つ田をうるおします。このことから、雪は豊作の意味する吉祥文様とされ愛されてきました。

雪輪は、ほかの柄と組み合わせて使われることもよくあります。桜と雪輪、秋草と雪輪などいろいろありますので、お好みの雪輪を探してみてはいかがでしょうか。

・雲取り(くもどり)​

雲取りは、めでたいことの前兆や運気上昇が表現されている柄です。雲はさまざまな形に変化することから、吉祥の前兆とされ、お祝いの席にふさわしい柄として広く使用されています。振袖で使用される雲をモチーフとした柄は、「瑞雲」や「立涌」などがあります。

・流水文様(りゅうすいもんよう)

流水文様は、困難や厄災を流し去ってくれる意味が込められた柄です。留まることなく流れ続ける水流は、濁ることなく美しいとされ、吉祥文様として広く使用されています。

振袖で使用される流水文様は、「観世水文」や「光琳水文」などがあります。水流と合わせて菊・桜などの植物や、扇が一緒に描かれていることも多いです。

器物文様

器物文様とは、身の回りにある日用品などをモチーフにした文様のことです。本記事では、8種類の器物紋様についてご紹介します。

・手まり

色彩の華やかさや、丸い愛らしい形で人気の手まり柄。子どもや若い女性の愛らしさを強調する柄です。

手まり柄には、その丸い形から「万事すべてまるくおさまりますように」という願いが込められています。また、嫁ぐ娘にお守りとして手まりを持たせるという習慣があったなど、魔除けという意味も込められています。

・御所車(ごしょぐるま)

御所車というのは、牛車のこと。平安時代の貴族が乗っている、牛に引かせる車のことです。今でも京都のお祭り、葵祭などで見かけます。

御所車は、貴族のような華やかさの象徴です。平安文化を気づいた典雅な雰囲気を感じさせる柄だと言えるでしょう。また、御所車にいっぱい花を乗せた「花車」と呼ばれる柄もあります。この柄には、幸福の象徴である花で満たされた様子から、幸せにあふれますようにという意味が込められています。

・扇(おうぎ)​

扇は、末広がりを表しているとされ、発展や繁栄の意味が込められている柄です。扇には風を仰ぐ役割があり、悪いもの吹き飛ばしてくれるとされています。振袖に描かれる扇の紙面には、華やかな花と一緒に描かれることが多いです。

・熨斗(のし)

熨斗は、祝福を受けて周囲の人たちと分かち合う意味が込められた柄です。引き出物や贈り物に使用される熨斗は縁起が良いとされて、振袖には「束ね熨斗」として描かれるようになりました。鮮やかな配色と見た目から、華やかな印象になります。

・貝桶(かいおけ)​

貝桶は、夫婦円満の意味が込められている柄です。平安時代に「貝合わせ」という遊びが流行ったことで、嫁道具の一つとして扱われていました。「二つで一つ」という意味合いをもつことから「永遠の契り」を表しているとされ、おめでたい柄として振袖を含む婚礼衣装にも描かれています。

・組紐(くみひも)​

組紐は、魔除けや良縁を結ぶという意味が込められている柄です。奈良時代から伝わる工芸品として、女性だけでなく男性の小物にも用いられていました。振袖の柄として描かれるだけでなく、帯締めにも組紐が用いられています。

・糸巻き(いとまき)

糸巻きは、長寿や子孫繁栄の意味が込められている柄です。裁縫に使用されていた糸巻きが表現されていて、糸が途切れない様子から縁起が良いとされています。振袖には花柄と合わせて、華やかに描かれていることが多いです。

・矢羽根(やばね)​

矢羽根は、邪気払いの意味が込められている柄です。一度矢を放ったら戻ってこないことから、嫁入りする際の着物に描かれていました。振袖には矢羽根を単体で描かれていたり、矢羽根を交互に並べた「矢絣柄」を用いられたりすることが多いです。

幾何学文様

幾何学文様とは、図形や線など幾何学的な形を連続させて美しい模様を表現した文様のことです。本記事では、5種類の器物紋様についてご紹介します。

亀甲(きっこう)

亀甲は、永遠の繁栄や長寿の意味が込められている柄です。亀の甲羅をモチーフに正六角形に描かれた文様で、昔から吉祥文様として使用されています。振袖には亀甲が単体で描かれていたり、亀甲を幾何学的に連続して描かれていたりすることが多いです。

七宝(しっぽう)​

七宝は、円満や子孫繁栄の意味が込められている柄です。同じ大きさの円が連続して広がることで、円満や子孫繁栄・調和を表現しています。振袖には手毬や花柄と描かれることが多く、帯の柄に用いられています。

麻の葉(あさのは)​

麻の葉は、魔除けや健やかな成長の意味が込められている柄です。麻の葉は単体で描かれることは少なく、麻の葉を上下左右に連続させて幾何学文様として表現されてきました。振袖だけでなく、赤ちゃんや子供の着物にも描かれることが多い文様です。

松皮菱(まつかわびし)

松皮菱は、菱形の上下に小さな菱形を重ねて表現された柄です。辻が花染めと一緒に用いられ、振袖以外にも家紋などに使用されています。

青海波(せいがいは)

青海波は、平穏や平和の意味が込められている柄です。穏やかに続く波を表現し、平穏な日常が続くように願いが込められた吉祥文様として用いられています。振袖に描かれる青海波は、波の部分に花を取り入れたデザインや、色彩豊かなデザインなどで描かれています。

沖縄由来の染色技法

紅型(びんがた)

紅型は、沖縄(琉球王国)で生まれた染色の技法の一つです。中国の吉祥文様の影響を受けた色鮮やかな柄が特徴で、主に王族や士族に親しまれていました。

後に京都など本土にも伝わり、友禅染めなどと影響し合って「京紅型」とも呼ばれる独特の雰囲気ある柄に進化していきます。振袖として仕立てると、個性的な華やかさが漂う柄です。

紅型には沖縄由来の柄として、「ハイビスカス」や「でいご」などの南国特有の植物が描かれています。夏をイメージされやすい柄ですが、季節を問わずオールシーズン着用できます。

まとめ

振袖の柄には、おめでたい席にふさわしい縁起の良い吉祥文様や有職文様を用いられています。一つひとつの柄にそれぞれの願いが込められているため、振袖を選ぶときの参考にしていただけると幸いです。

またICHIKURAでは、成人式や結婚式などにふさわしい振袖を数多く取り扱っています。振袖の知識が豊富なコーディネーターが要望をお伺いしたうえで、素敵な振袖をご提案させていただきます。ぜひお気軽にご試着へお越しください。