振袖をどれにするのかって、一度迷いだすと止まりませんよね。最近の振袖って種類が本当に多いんです。
振袖の選ぶ基準として、色と値段で選ぶ方が一番多いようです。振袖の形はすべて同じですからね。だけど、せっかく選ぶなら、同じ色でも柄が気に入ったものを選んでほしいと思います。振袖の柄には、意味が込められているからです。
今回の記事では、振袖の柄と人気柄について徹底的に解説していきます。
目次
1.振袖の醍醐味である「柄」にもっとこだわろう
振袖についてネット検索すると、色や必要な費用についてかかれている記事が多くて驚きます。もちろん、振袖の色は大切です。顔映りってありますからね。また、振袖は普段買う洋服に比べたら、高いです。だって、使っている生地は絹の場合が多いですし、帯などの小物や写真撮影までついているのですからね。
でも、振袖好きの筆者としては、もっと振袖の柄についても知ってほしいなと思います。例えば、松竹梅。その名の通り、植物の松と竹と梅のことですが、日本のおめでたい席に必ず使われるモチーフです。
松竹梅の絵がなぜ祝い事の席で使われるようになったのかと言うと、由来は中国の宋代より始まった文人画という種類の絵でよく使われていたからだそうです。松と竹は寒い中でも枯れずに緑色を保っていますし、梅は寒い2月でも花を咲かせます。
松竹梅柄の振袖には、「成人した娘に今後さまざまな苦労があるとしても、松竹梅のように、力強く凛と生きられるように」という親の願いが込められているのです。どうですか?松竹梅の振袖が気になってきたのではないでしょうか。
2.振袖の柄はこうやって染められています
振袖の魅力は、なんといってもその生地のすばらしさです。シンプルな着物の場合は染めずに織って柄をつけていますが、振袖の柄は基本的に染められています。まるで芸術品のような華麗な柄は、どのように染められているのでしょうか?
①絞り染めの場合
まず、生地のどの辺りにどれぐらいの絞り染めを入れるかを考えて生地に糸で印をつけます。絞りたい部分の生地を糸で括り、他の部分は色がつかないように器具で挟みながら、染料(絵の具)をつけます。しばらく時間をおいてから括った糸をほどけば、中央に丸い点があり、その周りが白い輪っかの模様がたくさんできます。
振袖に絞りについては、当サイト(振袖マガジン)の以下の記事でもご説明しています。よろしければ、あわせてご覧ください。
②辻が花の場合
辻が花とは、絞りで柄を出した後に手書きで花などの絵を描き金箔を貼る技法です。つまり、絞り+手書き(友禅)のミックス版というわけです。
辻が花の歴史ですが、室町時代後半(足利氏の時代)から桃山時代(豊臣氏の時代)にかけて作られたのではないかと言われています。辻が花という名前の由来は諸説ありますが、模様と模様が交差することから十字を連想され、十字の漢字から「辻が花」になったという意見もあります。
③友禅の場合
振袖と言えば友禅!というイメージの方も多いのではないでしょうか。友禅染めとは、絹などの生地に花や草木や山川などの模様を色鮮やかに描く技法を言います。友禅は友禅染めを考えた江戸時代の扇絵師・宮崎友禅斎の名前をとって名付けられました。最初は扇に描いていたのに、次第に着物へと染める対象が広がったのでしょうね。
友禅染めが現れるまでは、着物の絵柄は絞りか刺繍か板じめなどの限られたものでした。友禅が遊び心いっぱいに描いた友禅染めは別の地域へも広まり、江戸友禅以外にも加賀友禅(現在の石川県の南半部)や京友禅といった技法も生まれました。
手書きを基本とする友禅でしたが、明治時代には工業の発展で型紙を用いてハケを使って染色するという写し友禅が始まりました。友禅の作業は振袖の絵柄を構想し、それを草稿(下絵の前段階)にし、下絵を完成させ、といくつもの段階を踏んで完成する非常に時間がかかるものです。
※上記URLをクリックすると、外部サイトへリンクします
④インクジェットの場合
最近、インクジェットプリンターで染色されている振袖は非常に多くなりました。だって、あんなに細かくボリュームのある柄を人間が手書きで染めたら、朝から晩まで作業しても3か月はかかりますよね。
インクジェットで染められた振袖は量産でき、価格も手書きに比べれば半分以下と安いのが特徴です。しかし、インクジェットの振袖だからといって、振袖の柄が非常に細かく繊細であればそれだけインク代やスタッフの作業時間もかかります。
インクジェットの振袖については、当サイトの以下の関連記事も是非あわせてご覧ください。
3.年々ゴージャスになっている!振袖の人気柄ベスト5
最近の振袖の柄はどんどんゴージャスになる傾向にあり、柄が少ないと少し寂しい印象もするほどです。しばらくはこのゴージャス柄のトレンドは続くのではないでしょうか。では、振袖の人気柄ベスト5をみていきましょう。
【第5位】女の子でヨカッタ♪八重桜柄
八重桜は桜の中でも丸く立体的でボンボンのようにも見られる華やかな桜です。振袖の柄には、この八重桜柄の振袖がたくさんあります。
例えば、こんなピンクの振袖です。ソメイヨシノと八重桜のダブル使いがガーリーですね。桜の花ことばは「精神の美」と「優美な女性」です。二十歳を迎え、より美しい日本の女性として育ってほしいという親御さんは是非娘さんに着せたい一着なのではないでしょうか。
【第4位】根強い人気。辻が花柄
この生地の前半でもお伝えした辻が花。実は、振袖レンタルでも人気が高い柄なのです。
辻が花の魅力は、ズバリ和装の良さを感じるところです。最近では、まるで洋服のような柄や派手な柄も多い中、昔ながらの和装の良さを感じられる辻が花。
振袖として着たあとは、卒業式だけでなく袖丈をお直しして訪問着として末永く着ることもできます。
振袖に描かれた辻が花に込められた意味とは?辻が花の振袖コーデ集
【第3位】絶対かぶりたくない!1点豪華なビッグ柄
20年前には絶対になかったと思われる振袖の柄。それは、ビッグ柄です。菊や椿など1つのモチーフのサイズが大きく、見る人にインパクトを与えます。
大好きなモチーフであれば、ビッグ柄の振袖を選ぶのもオススメです。ビッグ柄はここ数年続いているレトロブームの影響を受け、今後も続くことでしょう。
【第2位】日本人なら◎流れる川×有職文様柄
第2位は流れる川をイメージする「流水」です。「災いがあってもさらりと流せるように」という意味や、流れる川は常に腐らないことから「常に清らかな女性であるように」といった意味があります。
こちらは振袖の一蔵の振袖です。流水モチーフの中に金箔でさらに細かい流水柄が描かれています。また、その下には有識文様といって、平安時代に公家(くげ)の装束や調度品として使われた中国伝来の模様です。
有識文様は一つのモチーフが連続した柄で構成されています。代表的なのは、以下のような模様です。円が重なり桜と毬を表現していますが、円が交差する形は「七法文様」という有識文様の一種です。また、左上に見える緑地に金色の花模様は花菱(はなびし)という名称です。
流れる川の柄は振袖だけでなく着物でも非常に使われることの多い柄です。
【第1位】お祝い度NO.1!鶴×桜柄
鶴は寿命が長いことで知られ、「鶴は千年・亀は万年」という言葉もあるほどです。実際には鶴の平均寿命は20~30年ですが、それでも動物の中ではかなりの長寿命と言えます。
この振袖では大きく翼を広げた鶴が描かれており、背景には松竹梅のモチーフが絞りや型染めで描かれています。色も紅白に金という非常におめでたい色合いで、二十歳を迎えた娘さんの将来を祝う親御さんの祈りが体現されているような振袖です。
まとめ
振袖の柄には振袖を着る女の子の幸せを願う気持ちがたっぷり込められています。
もし振袖選びに迷ってしまったら、柄を一つの選択肢として好きな柄とそれに込められた思いから振袖を選んで見てはいかがでしょうか?